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  • 石井みき

油彩ポートレイト - 青いシャツの女性



 F10のキャンバスに描いている。本当はもう少し大きくF15くらいのサイズで描きたいところだけれど、コッタはこのくらいがちょうど良いと言うので、毎週二枚ずつ、同じキャンバスを買っている。

 描きやすいサイズで顔を描き始めたら、せっかくリンゴを手に持ったポーズだったのに、手まで入りきらなかった。2時間のセッションが2回で、この絵には計4時間を費やした。自然光で描いていたので、描いているうちにどんどん日の光が変わっていってしまう。印象派のモネはどれほどのスピードで描いていたのだろうか、などと考えながら色を混ぜ合わせていった。

 一ヶ月ほど前、初めてこのスタジオに来た時のペインティングでは、髪の生え際がまるでカツラのようになってしまった。「エッジコントロール」がうまくなかった。今回は世界中のポートレイトアーティストの絵をよく研究していった。それが収穫だった。

 YouTubeでアーティストのワークショップを見ていると、「ライフペインティングは、見たとおりに描くのが基本だけれど、そこから自分なりに編集していくのがアーティストの力…」というようなことをよく耳にする。

 ここに来る途中の電車の中で、「今日は、自分のスタイルを出すように編集しよう」とコッタと話しながら来た。コッタは思い切って、シャツの色に合うように、背景を明るい黄色に塗った。私はシャツを、実際よりもずっと地味な色に塗った。二人の絵を並べてみると、今日はかなり対照的な仕上がりになった。

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